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本が好き。 自分じゃない人の経験を追体験できるから。 そして、それ以上にワクワクしたりドキドキしたり……色々な感情を本は味わわせてくれる。 そんな私は、今日もお気に入りの喫茶店で小説を読んでいた。 「お客様、こちら店からのサービスです。よろしければお飲みください」 スッとテーブルにコーヒーが置かれる。 鼻腔をふんわりとくすぐるコーヒーの香りと、落ち着くバリトンボイス。 そしてテーブルに置いた小説の表紙を見て、マスターは、笑みを浮かべる。 「その小説……私も好きなんですよ」 そんな物腰丁寧なマスターと共通の趣味の私。 そんなマスターに私が恋をするのに時間はかかりませんでした。
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