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……その街には、想像を遥かに超えた、超セレブたちの学園があるという。 私立御星向学院学園――別名・高額院。 入学金、授業料、その額と同等の寄付を合わせると、軽く億を超えてしまう学び舎。オマケに入学審査は厳格で、金さえあれば入れるというワケでもない。 選ばれた裕福な子弟のみが通うことが許される特別な学園。それが 『高額院』である。 そんな高額院が全学費諸経費免除の特待生を募集するという、とんでもないニュースが日本中を駆けめぐったのは、とある冬の出来事だった。 御星町の小さなアパートに住み暮らす少年・鳴海和樹 (なるみ かずき)は、そういったニュースなど 「別世界の出来事だ」と大して興味も抱かず、平々凡々とした毎日を送っていた。 しかし運命は、彼と、彼に繋がる人々を翻弄する。 高額院の特待生募集――その総受験者数85,000人の中から合格したのは、たったのひとり。 その受験生の名は……なんと、和樹の幼なじみであり、アパートの大家の娘でもある弓野奏 (ゆみの かなで)だった。 「どっ、どどどっ、どうしよう和樹ちゃんっ !?」 ただの記念受験だったはずが、まさかの合格に慌てふためく幼なじみの少女。 後日、合格した奏の元に入学案内書が届く。そして、そこに書かれていた文字に和樹と奏は仰天した。 『女子学生は執事の同伴を必須条項とする――』 まったく見知らぬセレブ学園の常識に、驚きを隠せない和樹と奏。そして奏は――真剣な顔で和樹に両手を合わせた。 「和樹ちゃん、一生のお願いっ、わたしの執事さんになって!」 1,216回目の、奏の 「一生のお願い」を聞き入れるべきか入れざるべきか……。 悩みに悩んだ末、心細く不安そうな奏のことを考え、和樹は彼女の頼みを聞いてしまう。 そして4月を迎え、高額院へと入学を果たした奏と和樹。 そんなふたりが目にした物は、豪華な馬車や雅な牛車が往来する、常識を遥かに超えた異世界だった。 セレブの中に放り込まれた庶民タッグと、唐突に庶民を迎えることになったセレブな子弟たちが、すれ違い、交わり、友情を育んでいくセレブリティ庶民ストーリー。 この突拍子もない学園で、無事に学生生活を送ることができるのか。和樹と奏の奮戦奮闘ドタバタドラマが、今ここに幕を開ける。
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